研究室の紹介


 宇宙物理学は,量子力学や統計力学,相対論などの基礎的な物理学にもとづいて,宇宙・天体の構造や進化を解明するとともに,さまざまな現象の中に物理学の興味ある対象を見い出し解析していくことを目的としています.当研究室では,その中でも高エネルギー宇宙物理,銀河・銀河団の形成および進化,宇宙プラズマの基礎的物理過程などについて理論的研究を行っています.
大きな研究テーマには以下のようなものがありますが,個々の具体的なテーマや対象は観測の進展や研究の動向とともに変わって行きます.

☆ 高エネルギー宇宙物理

 クェーサーや銀河中心核,X線連星,γ線バースト,超新星残骸などの活動天体の理論モデルの構築と物理過程の解明を目的としています.具体的には,ブラックホールや中性子星へのガス降着,X線・γ線などの高エネルギー放射機構,高エネルギー粒子の生成機構,相対論的ジェットの形成機構などについて研究を行っています.


☆ 銀河・銀河団の形成と進化

(1) 銀河団ガスの力学的構造や粒子のエネルギー分布,熱的・化学的進化を通して,銀河・銀河団など宇宙の構造形成と進化を解明するための研究を行っています.

(2) 膨張宇宙における密度揺らぎの成長の理論に基づいて,銀河や銀河団の形成・進化を記述する理論モデルを構築し,それをX線や可視光などの様々な観測データと比較,検討をすることで,銀河,銀河団の形成・進化の物理過程を理解することを目指しています.また,X線観測によるダークバリオン探査の可能性をシミュレーションなどを用いて理論的に研究し,専門観測衛星による検出について検討を行っています.

☆ 宇宙プラズマの基礎的物理過程

 宇宙プラズマの組成や構造,輻射や粒子の輸送過程などを定量的に解明するため,粒子衝突や放射の素過程について基礎的研究を行っています.また,星間ガスや銀河団ガスでの衝撃波や乱流による粒子加速の基礎過程の研究も行っています.


 宇宙物理学の研究課題は多岐にわたり,その研究方法も基礎理論からコンピュータを用いた数値計算,観測と密接に関連したものまで幅広く,また研究テーマも新しい観測や他分野の発展によって大きく変わることもあります.したがって,実際の研究においては各自がそれぞれの得意な領域と手法をもち,お互いに協力しながら研究を進めていくことが重要になります.当研究室でも,本教室の宇宙物理実験研究室の他,宇宙科学研究所や他大学の研究者とも協力しながら研究を進めています.